★こどもの森です!
8月も今日で終わりです。
最近は9月1日始まりの学校は少数派ですが、私が子どもの頃は、2学期は9月1日からと相場が決まっていましたね。
学校も最近は2学期制が多いようです。
いろいろな要素が絡んでいるのでしょうが、「1つの学期→長期休暇→気持ちリセットして新しい学期」という昔ながらの3学期制も、気持ちの区切りとしてはとてもいいように思います。
★さてこの時期は子どもたちの自殺が一番多い時期です。
過去40年間の日別自殺者統計で、9月1日は過去40年合計で120人以上の子どもが自殺しています。
長い休暇明け、気持ちがどんよりするのは、大人も子どもも一緒です。
もともと人間関係で悩みがあったお子さんは、「あぁ、またあいつと会わなきゃいけないのか・・・」と気持ちが重くなることでしょう。
特にそのような悩みを抱えていなくとも、「他人さまと会う」のは、心と体の体力を要します。
さらに加えて、今年は格別の猛暑で、室内にこもることを余儀なくされ、いきおい「ゲーム三昧」の日々を過ごしたお子さんも多いはずです。
そんな、こんなで、この時期は子どもたちの心は一様にどんよりしているのです。
そこで、この時期を乗り切るアドバイスをいくつか。
1)心の疲れと体の疲れは重ならないように
夏休み生活サイクルが残って睡眠不足だと、そもそも朝はきついです。
小学生は9時就寝、中学生も10時就寝を目標に。
可能ならは、ご家族みんな一緒に早く寝てしましまいましょう。
そうすれば、ママも朝早く目覚めて、もりもり朝ごはんを作れそうです。
「ご飯・味噌汁・卵や納豆などのタンパク質のちょっとおかず・麦茶」でいいのです。
炭水化物、タンパク質、適度な塩分、水分をしっかり摂らせてあげましょう。
この時期、お休みの日であっても「ぐったりするほどのお出かけ」は控えましょう。
2)ちょっとした「ぐずぐず」程度なら、まずはそっと背中を押してあげて
人間関係など特定の原因がなく、ちょっと気乗りがしない程度なら、「具合が悪かったら保健室で休ませてもらってもいいし、ママがお迎えに行ってあげるよ。」と「保険」をつけて送り出してみましょう。
そのときは、ママも努めて笑顔で。
子どもたちは、登校したら登校したで、なんとか気持ちを切り替えることも多いものです。
そうこうしている日々が過ぎるうちに「調子が乗って」くることも多いのです。
反対に、「休み慣れて」しまうと、しだいに「登校の敷居」が高くなることも事実です。
しかし、この方法で「保険」が頻繁に作動する場合は、本格的な見直しが必要です。
3)人間関係など、はっきりした原因があって、きっぱりと登校を拒否するとき
この場合子どもが希望していることは、「行かなくていいよ」という対応ではありません。
その原因を取り除いてもらうことこそが、ほんとうの希望です。
まずは穏やかな雰囲気で、本人が話し出してくれることを待ちましょう。
お子さんが心の内を話し始めたら、徹底的に聴き役に回ります。
「あなたの気持ちを最優先にするよ〜」という雰囲気作りが大切です。
「そうだったんだ〜」
「よく話してくれたね。」
「つらかったよね」
100%応援団に徹します。
まずは客観的な裁定は不要です。
「まず、ゆっくり休もう。」
「アイスでも食べる?」
こんな会話でしょうか。
結論は急がなくていいこと、
自分の気持ちを大切にすること、
ママはあなたが幸せであることが一番であること、
ママにできることは、せいいっぱい力になること、
などのメッセージを穏やかに伝えましょう。
4)特定の原因はないけれど、登校するのが面倒、かったるい、など気乗りしないとき
これが本当はいちばん難しいケースです。
本来生き物は、生きていくために必要な能力を高めたいという本能があります。
これは蝶の幼虫でも同じです。
ですから、「順調に心が育ってきている」場合、特別な配慮をしなくとも、本来子どもたちは「昨日できなかったことが今日はできる」ということに限りない達成感を感じて幸せになれるのです。
さらにもって、人間の子どもはもうひとつ。
「誰かの役に立てるとうれしい」
この気持ちを例外なく持っています。
1歳の子どもでも、
「テレビのリモコン持ってきてください。」
〜持ってきて手渡す〜
「ありがとう!」
〜にっこり微笑む〜
こんなやりとりがあったはずです。
では、その前提となる「順調に心が育ってきている」とはどういう状態でしょうか?
ここでまたまた登場するのが、以下の「幸福の3段階」です。
@セロトニン的幸福:気持ちいい!
Aオキシトシン的幸福:スキンシップ!
Bドーパミン的幸福:やった〜!
これら3つは、@→A→Bの順に達成されるのでした。
「昨日できなかったことが今日はできる」
「誰かの役に立てるとうれしい」
これは紛れもなくBの幸福です。
ですから方法はただひとつ。
@とAを達成することで「育て直し」をすることです。
では@の幸福を達成する3つのことをご紹介します。
これはいつもこどもの森クリニックの乳児健診でお伝えしていることです。
*良質の睡眠をたっぷり取らせる。
*明るさの調節で昼夜のリズムを整える。
*空腹を感じてから、適切な食事で、心地よい充実感を感じさせる。
ひとつずつ見ていきましょう。
*良質な睡眠
これも乳児健診でよくお伝えしていることですが、睡眠は「何時間眠ったかより何時に寝就いたか」が大切です。
子どもがいる暮らしがもたらす宝物(これも乳児健診でお伝え)のひとつに「家族の暮らしが朝型になります」があります。
乳幼児・小学生は、「9時には寝息が聞こえる」を至上命題にして、タイムスケジュールを建てましょう。
極論すれば、1日や2日は入浴しなくても大丈夫です。
翌朝簡単にシャワーすればOKです。
お風呂を省略してでも9時就寝を目指しましょう。
入眠前の視覚刺激も注意が必要です。
就寝前2時間は特に厳重に。
夕食・お風呂が終わったら、普通7時にはなってしまいます。
9時に就寝ですから、ゲーム時間はもうないはずです。
夕食後のゲーム・スマホは控えましょう。
*昼夜の明るさの調節
これもいつも乳児健診でお伝えしています。
「朝は明るく、夜は暗く」ですね。
とくに朝日をしっかり浴びることでセロトニンがたっぷりと分泌されます。
脳の体内時計も朝の光でリセットされます。
朝はカーテン全開で、明るい朝日の中で朝ごはんを食べましょう。
余裕があれば朝お散歩することですが、朝日を見ながら登校することもとても良い刺激です。
反対に夜は薄明るい照明、白熱球色がおすすめです。
スマホのブルーライトはいちばんいけません。
夜は控えましょう。
*適切な空腹と規則正しい食事
食べることは生きることの基本です。
体の体内時計は朝食でリセットされます。
その意味でも、朝ごはんは3食のなかで一番重要な食事です。
休暇中は食事のリズムが乱れがち。
「いつとなくだらだら食べ」になることもありそうですが、これはいけません。
食事時にバランスよく食べて、しっかり次の食事までに空腹を作って、次の食事を美味しくいただいて満足する、このサイクルがとても大切です。
食事のあいだの水分補給はお茶か水。
液体物でカロリーを摂らようにしましょう。
Aオキシトシン的幸福についてはどうでしょう?
ズバリ、スキンシップです。
抱っこして読み聞かせ、
おねんね前のハグ、
いっしょにお風呂、
添い寝で、今日あった事のお話会、
こんなささいなことの積み重ねです。
もうひとつ効果的なのが、家族での共同作業やお手伝いです。
家族は社会の基本です。
自分も家族の一員として、みんなの役に立っているという手応えが、心に充実感をもたらします。
家族でガーデニング、
休日にキャンプ、
食事のお手伝いで、いっしょにパーティー、
など、楽しいひと時を家族で作りましょう。
毎日の日課となるお手伝いを任せることもとても有効です。
お風呂を洗う、
お米を研いでスイッチを入れる、
などなど、「ぼくがいないと家族が困る」という場面を作ることがおすすめです。
このようにして@Aの幸福が満たされれば、次にはきっと、Bの幸福を求めて、挑戦する意欲が湧いてくることでしょう。
そうすれば、「やった〜」という幸福を味わうことにはまって、自らの暮らしを自分で段取りして楽しむステージになります。
あくまでこの「やった〜」という出来事は、ご本人にチョイスさせることが大切です。
「やらされた感」では、「やった〜」にはなりません。
9月1日を明日にひかえ、子どもたちの心のケアについて、ちょっと思うところを綴ってみました。
<流行っている病気>
@熱・咳の風邪症候群:RSもやや目立ちます。
Aウイルス性胃腸炎
B新型コロナ