★こどもの森です!
ちょっと久しぶりの更新になってしまいました。
いかがお過ごしでしょうか?
このところの豪雨、大きな災害が起きないことを祈ります。
早いものであと2週間で夏休みですね。
ご家族で楽しいご計画を!
★さて最近の外来の状況です。
このところ激増しているのは手足口病です。
毎年「エアコンをつけたいな〜」という気温になると流行し始める代表的な夏風邪のひとつです。
★原因ウイルスは、コクサッキーA6、A16、エンテロ71が代表的です。
今年はA6という報告が出ています。
1種類のウイルスが原因の、たとえば水ぼうそうなどとは異なり、複数のウイルスが原因になりうるので、残念なことに何度でも罹ります。
★感染経路は飛沫、接触、糞口の3つですので、保育園などで流行しやすい傾向があります。
「飛沫感染」咳やくしゃみによって感染する
「接触感染」汚染されたおもちゃなどを介して口から入り感染する
「糞口感染」便の中に排泄されたウィルスが口の中に入って感染する
潜伏期は3〜5日。
★症状は特徴的な分布をとる発疹です。(手の平、足の裏、肘、膝、臀部、口囲、口内)、発熱です。
口の中の発疹のために痛くて飲み込みにくくなることも多いです。
全く発熱がなく発疹のみの年もありますが、今年は多くの場合高めの発熱が病初期に見られます。
最初は高熱、その後遅れて発疹出現という場合が今年は多いようです。
ですから、
「最初発熱だけの夏風邪→その後発疹出てきて手足口病」
「最初発熱と口内の粘膜疹のみでヘルパンギーナ→手足に発疹出現して手足口病」
となることも多いです。
コクサッキーA6流行年の特徴として、罹ってだいたい1ヶ月後に「爪がはがれる」ことがあります。
★特効薬はありません。
1番のお薬は「栄養と睡眠」です。
1番困る症状は、高熱による疲労と、お口の中の粘膜の発疹のために痛くて食べられないことです。
発熱は、体がウイルスと戦うための有利な免疫反応の表れですから、やみくもに解熱剤を使うことはおすすめできません。
解熱剤使用せずに様子を見ていい基準は以下の3点です。
@まずまず食欲があって食べられる。
A昼寝や夜寝が、いつも通りできる。
B遊びたい意欲が見られる。
つまり「食う、寝る、遊ぶ」の、「子どもの3大お仕事」ができることです。
これらがうまくいっていないときは、「お熱でつらい」と考えて、タイミングよく解熱剤を使用して「一時休戦」を図り、戦力を補給しましょう。
解熱剤は同時に鎮痛剤でもあります。
解熱剤を使って「気分が良くなり、鎮痛効果で食事も摂れる」ようにするのも、賢い使用法です。
★口内痛があるときは、食事内容を配慮しましょう。
「酸っぱい、塩っぱい、熱い、固い」を避けて、優しいお味でつるっと飲み込めるものが良いでしょう。
具体的には・・・
*プリン、ゼリー、バナナと牛乳のスムージー、溶かしたバニラアイス
*さましたダシがゆ、さましたクリームシチュー、さましたグラタン
*つゆなしで豆腐、卵豆腐
*スイカ、モモ、メロン、バナナなど、酸味のない果物を細かくして
*母乳、さましたミルク、牛乳、豆乳
などです。
くれぐれも「初めて食べるもの」は、控えましょう。
★多くの場合数日で良くなりますが、まれに脳炎、髄膜炎、心筋炎などの重篤な合併症があります。
髄膜炎:激しい頭痛と頻回の嘔吐
脳炎:痙攣や意識障害
心筋炎:頻脈や徐脈、呼吸困難、チアノーゼ
高熱が出ることで熱性痙攣を起こすことも比較的多いです。
もともとダイアップの指示が出ているお子さんでは、忘れずに早めに入れましょう。
★予防は、マスクと手洗いです。
便の中にもウイルスが出ます。
排泄物の処理の際には、使い捨て手袋を使用しましょう。
★さて今日の話題は、「『朝に弱い』を卒業するには朝ごはんが大切」というお話です。
たいてい子どもたちは、朝機嫌が悪いものです。
朝お子さんを起こすのに一苦労というママもきっと多いことと思います。
しかし子どもたちの日常は、午前中に活動のメインがあります。
学校なら午前中4限、午後1〜2限ですし、園では、午後はかなりの時間がお昼寝です。
午前中に脳が活性化しないことの損失は計り知れません。
ぜひ朝からフルパワーで過ごさせてあげたいものです。
朝調子が悪い大きな原因は2つあります。
1つ目はセロトニン不足、2つ目は低血糖です。
じっくり見ていきましょう。
ここに1つの統計があります。
2009年とちょっと古いのですが有名な比較データです。
小6と中3で行われる「全国学力テスト」で、朝ごはんを食べる子どもは、食べない子どもより21点高得点でした。
これはかなりの差です。
「朝食を摂らないと成績が悪くなる」ということです。
朝食が体に及ぼす効果にはどんなことがあるのでしょう?
3つあります。
1)脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖を供給できる。
2)咀嚼(噛むこと)で、セロトニンを活性化できる。
3)体温を高めることで心身を目覚ましできる。
まずは低血糖の改善です。
普通、夕食後から12時間近く、言わば「プチ断食」して、朝食を食べます。
ですから朝起床時は1日のうちで1番低血糖の状態です。
低血糖で1日をスタートすることは、ガス欠状態で車を走らせるようなものですから、パフォーマンスが低下するのはあたりまえです。
また、低血糖気味になってくると、体は緊急事態と察して、副腎からアドレナリンを分泌し、肝臓の「蓄え糖分」であるグリコーゲンを分解して、血糖値を上昇させます。
アドレナリンは「怒りのホルモン」でもあるので、集中力が途切れ、イライラしやすくなります。
低血糖→脳のエネルギー不足
??イライラ状態
となって、最悪です。
次にセロトニンの活性化です。
セロトニンは「さわやか幸福」をもたらす、大切な脳内物質です。
セロトニン的幸福は幸福の三段重の1段目ですから、幸せの1丁目1番地です。
セロトニンアップの方法の1つに「リズミカルな運動」がありましたね。
「咀嚼」はだれでもすぐにできるリズミカルな運動です。
朝ごはんをよく噛んで食べることで、セロトニンが爆上がりさせることができるのです。
最後に体温上昇です。
食事をすると体温が上がります。
摂取した栄養を燃焼するからです。
とくにタンパク質(卵、肉、魚、大豆)は体温上昇に効果的です。
小中学生対象の調査では、朝食を食べる子は、食べない子より、平均で0.5度程度体温が高いという結果が出ています。
体温が上昇すれば、戦闘モードになりますから、やる気が出ます。
統計上、低体温の子どもたちは・・・
*遅刻や不登校が多い
*学習意欲が低い
*成績が悪い
などの傾向が見られるそうです。
人間は、人間である以前に「生き物」です。
生き物としての爽やかな幸福感を、朝ごはんをしっかり食べることで、まずは実現しましょう。
朝ごはんを食べることで、脳のガソリンである血糖を供給し、爽やかホルモン セロトニンをしっかり分泌させて、パワフルに午前中を過ごせるようにしてあげたいですね。
<はやっている病気>
@手足口病
Aウイルス性胃腸炎
Bアデノウイルス(咽頭結膜熱)
CRSウイルス感染症
D溶連菌感染症